〜ドイツでの経験〜
ドイツのプロ契約専門の
代理人と出会いました。
第一印象が誠実そうで、
実績もありましたので、
僕の渡独をお任せすることに決めました。
同級生たちが社会人になっていく中で、母親に女手ひとつで育ててもらった僕にとって、
これがプロへの「ラストチャンス」だと決めていました。
毎日、地元の居酒屋で働き、
そこで渡独費用を貯め
一念発起したのでした。
「これでだめなら就職活動へ」と。
日本の仲間たちに、
あたたかく送り出してもらい、
昨年の4月ドイツへ渡りました。
滞在7日目のこと。
クラブチームの初のトライアウトです。
技術、守備力の面でとても手応えがありました。
終了後、監督から言われました。
一言でした。
「厳しいね」
それを残して、監督はピッチを後にしました。
なにがいけないんですか?
どうしたらいいんですか?
と食い気味に問いましたが、ダメでした。
ホテルに帰ると、すぐ次のトライアウトを申し込んでほしい、と代理人へ連絡。
ですが、そこからは話が進まず。
1週間以上経ち、練習もない毎日。
そしてついに連絡は途絶え、長いトンネルの中へ。
本来では受け入れクラブがあるはずでしたが、一人で数人の少年とボールを蹴る毎日。
毎晩こう思うのです。
自分は、
なんで詳しく調べなかったんだ。
もっとちゃんとスケジュールが
決まった上で渡航していたら...
もっといろんな会社をみていたら...
もっといろんな人に相談したら...
もっと、もっと
もっと。。
そうして僕は、
帰国の決意に踏み切りました。
あんなにも沢山の人に送り出してもらって、1年は帰らない予定がわずか2週間で戻ることに。
「みんなに
どんな顔して会えばいいんだ・・・」
誰にも会いたくてありませんでした。
ですが、それは帰る以上、無理なことだろうと思い、もう逃げられないと、一人ひとりへ頭を下げていこうと決めました。
沢山の人を裏切るようなことに
なってしまったのだと改めて感じ、
悔しくて仕方ありませんでした。
このチャレンジで得たものは
何もないと思って帰国しましたが、
「こんなにも想ってくれる人がいて、
泣いてくれる人がいる」
そんな大切なことに気づかされました。